アブストラクト(28巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 経皮的右心房穿刺によるカテーテル電極固定法の遠隔成績
Subtitle : 原著
Authors : 藤原嗣允, 山田修, 渡辺祝安, 星野豊, 西村進, 鎌田幸一, 小松作蔵*
Authors(kana) :
Organization : 道立釧路病院胸部外科, *札幌医科大学胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 28
Number : 9
Page : 1389-1397
Year/Month : 1980 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 昭和52年3月, 経皮的右心房穿刺によるカテーテル電極固定法(PAPIEF法)を考案して以来, 2年間に, 道立釧路病院において16症例に, この術式を用いてペースメーカー植え込み術を行った. W-P-W症候群を含む発作性上室性頻拍症の7例に, 高周波誘導型ペースメーカーを使用し, 2例の完全房室ブロックに心房同期型ペースメーカーを使用し, 7例の洞不全症候群に心房ペーシングによるペースメーカー植え込み術を行った. 高周波誘導型ペースメーカーの使用例は, 全例有効で, 閾値上昇等によるペーシング不全は, 一例も認められなかった. このことは, このペースメーカーのパルス幅が2m sec.で10Voltの高出力であること, 使用回数が極端に少ないため, 電気刺激による心内膜の変化が少ないこと, および, この術式では電極の移動が起きないため, 受信器を皮下に植え込み, 最大出力を得ることができることなどによると考えられた. 心房同期型ペースメーカーの使用例は, 早期にSensing不全となったが, ペースメーカー交換時に心房電位を測定しえた一例では, 電位の変化は少なく, また, 2例共交換時に心房刺激を行いえたことより, 電極の離脱は認められず, この術式にSensing不全の原因があるとは考えられなかった. 心房ペーシングを行った7例の内, 1例は適応の誤まりにより早期に房室ブロックとなったため, 心室ペーシングに変更した. 他の6例は良好にペーシングされていた. しかし, この内の1例はペースメーカーに感染を起こしたため, その摘出を行ったが, リードの抜去は容易であった. 以上, PAPIEF法は, リードの固定が容易で確実であるとともに, 抜去もまた容易であること, および, 長期間に渡り安定したペーシングができることを, 臨床上から確められた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 心房電極固定法, 心房ペーシング, 洞不全症候群, 高周波誘導型ペースメーカー, 心房同期型ペースメーカー
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