アブストラクト(28巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : Pulsatile Assist Deviceを応用した静-動脈バイパスパンピング法の血行動態と虚血心筋に対する効果の研究
Subtitle : 原著
Authors : 小田桐重遠
Authors(kana) :
Organization : 慶応義塾大学医学部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 28
Number : 9
Page : 1421-1432
Year/Month : 1980 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : ショックを伴う急性左心不全に対する補助循環法として, 静-動脈バイパスにcounter pulsationを組み合わせた静-動脈バイパスパンピング法を開発し, その血行動態, 虚血心筋に対する効果を実験的に検討した. 本法は, 体外循環におけるexternal balloon pumpingとして開発されたPulsatile Assist Device (PAD)の前後に弁機構をとりつけて拍動ポンプとして応用したものである. すなわち, 外頚静脈から右房へ挿入したカニューレにて脱血し, 貯血槽を含む回路系を経て, このPADを駆動して大腿動脈から心臓の拡張期にのみ送血するものである. 本法では人工肺は省略してある. このため, 大動脈内で静脈血の混合が起こる. 30ml/kg/min以上の流量では横隔膜レベルでごく軽度のdesaturationが認められ, 腎動脈直下では15ml/kg/minで酸素飽和度91.0±3.3%を維持したが, 30ml/kg/minでは86.6±4.7%を示した. したがってこれ以上の流量で長時間の潅流を行うときは人工肺の併用も考慮すべきである. 実験の結果, バイパス流量15, 30, 45ml/kg/minに応じて, コントロールに比し大動脈平均圧は平均4.7~8.3%増加し, 心拍出量は6.9~29.3%減少したが, 総潅流量は9.4~19.9%増加し, いずれも必要, 充分な潅流が維持されていることを示している. また大動脈平均収縮期圧, TTIもそれぞれの流量に応じて平均4.6~9.6%, 3.3~10.6%減少しており, 左室のsystolic unloadingが得られたことを示した. また左前下行枝対角枝を結紮して虚血心を作製し, 水素クリアランス法によって心筋組織血流量を測定した. その結果, 虚血中心部で著明に低下した血流量は, バイパスパンピングによっても改善が見られなかったが, 虚血周辺部では, 本法によって組織血流量が増加する傾向が認められた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 静-動脈バイパスパンピング法, V-A bypass pumping, Pulsatile Assist Devide (PAD), 機械的補助循環法, 水素クリアランス法
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