アブストラクト(28巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 体外循環と心筋エネルギー代謝に関する研究-大動脈遮断と左室肥大の有無による比較検討-
Subtitle : 原著
Authors : 中山頼和, 寺本滋
Authors(kana) :
Organization : 岡山大学医学部第2外科学教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 28
Number : 10
Page : 1480-1488
Year/Month : 1980 / 10
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 開心術後の心機能低下の成因を解明するための研究の一環として心筋エネルギー代謝の面から実験的検討を加えた. 正常犬と術前の心負荷として実験的に作成した左室肥大犬に対し, 90分間の体外循環を施し, さらに術中の負荷として間歇60分間の大動脈遮断を行い, 体外循環離脱後60分の時点での心機能変化と心筋内高エネルギーリン酸化合物含有量ならびに乳酸・ピルビン酸比との関連を比較した. 1)大動脈遮断中クレアチンリン酸(CP)は著減し, 乳酸・ピルビン酸比は上昇したが, アデノシン三リン酸(ATP)は軽度の減少をみたのみであった. 2)体外循環離脱後60分の時点では肥大犬の大動脈遮断群の心機能が最も低下しており, その左室壁内層でのCPの減少をみとめた. 3)正常犬と左室肥大犬の大動脈無遮断群ならびに正常犬の大動脈遮断群では体外循環離脱後60分の時点で心筋内高エネルギーリン酸化合物含有量と乳酸・ピルビン酸比に大きな変化がみとめられないにもかかわらず, 心機能の低下をみた. 以上より体外循環離脱後60分の時点での心機能低下の成因として, 心筋のエネルギー産生障害のみならず, 利用系の障害の関与が推測された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 体外循環, 大動脈遮断, 高エネルギーリン酸化合物, 左室肥大心
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