アブストラクト(28巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 左室瘤切除術後の遠隔成績, 5年生存率と影響因子の検討
Subtitle : 原著
Authors : 北村惣一郎, 森透, 広瀬一, 大西健二, 中埜粛, 大山朝賢, 井原勝彦, 川島康生, 河内寛治*, 横田博雅**, 鬼頭義次***
Authors(kana) :
Organization : 大阪大学医学部第1外科, *桜橋渡辺病院, **大阪警察病院, ***国立循環器病センター
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 28
Number : 11
Page : 1625-1635
Year/Month : 1980 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 本邦における梗塞後左室瘤患者に対する外科治療後の臨床状態, 生存率についての詳細な検討はいまだ報告されていない. そこで著者らの経験した術後1年以上を経過した連続せる24例の梗塞後左室瘤に対する切除術または切除術兼バイパスグラフト移植術(12例)の遠隔成績について報告した. 対象は平均年齢57歳の男17, 女7例で追跡期間は平均42ヵ月(14~70ヵ月)であった. 手術適応は11例が心不全, 11例が心不全兼狭心症で心室頻脈, 多源性心室性期外収縮が5例にみられたが, いずれも心不全に合併したものであった. 4例にIABPを使用した. 手術死亡率は0%で術後臨床所見の改善は平均NYHA3度から2度への変化であった. 1度にまで改善した例は狭心症が主なものであった. しかし術前NYHA3, 4度の患者は全症例の83%にみられたが術後には79%がNYHA1, 2度となった. 術後5年間の追跡中7例(29%)の遠隔死が発生し, うち4例(17%)が心原性死亡であった. actuarial survival curveによる5年生存率の検討では心原性死亡のみを考慮すると80%, 全死亡例を含めると61%であった. これは欧米での報告における左室瘤患者の内科的治療群の成績を上回るものであり, また従来報告された外科的治療成績に対比するものであった. 著者例の遠隔期心原性死亡の多くが梗塞の再発によっており, それに関連した最も重要な因子としては機能部心筋を潅流する冠動脈の病変の存在であった. このことから左室瘤切除術の遠隔成績を改善する重要な因子として機能部心筋の完全冠血行再建を強調した.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 梗塞後左室瘤, 左室瘤切除術, A-Cバイパス, 完全冠血行再建, actuarial survival rate
このページの一番上へ