アブストラクト(28巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 開心術後左心機能の指標に関する研究(心拍出量, PEP/LVET, Q-Z intervalについて)
Subtitle : 原著
Authors : 川辺昌道, 泉雄勝
Authors(kana) :
Organization : 群馬大学医学部第2外科教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 28
Number : 11
Page : 1691-1703
Year/Month : 1980 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 近年重症例開心術の増加に伴い, LOSの早期発見とその治療の可否を決定するために, 開心術後の左心機能を簡便に, しかも侵襲の少ない方法にて評価することができれば, 術後の患者管理に甚だ有用であると考えられる. 著者はこの観点より, インピーダンス・カルディオグラフ, 橈骨動脈圧波, 心音図, 心電図を同時記録し, 心拍出量, Q-Z interval, PEP/LVETの三つの指標を測定し, その臨床的有用性と術後推移について検討した. 対象は開心術症例45例で, VSD, ASD群16例, TF群8例, OMC群12例, 弁置換群9例の4群に大別し, 以下の結果を得た. 1)インピーダンス法と熱稀釈法による心拍出量は術後において有意の正の相関を示した(r=0.72, p<0.01). 2)術後, PEP/LVETと一回拍出係数は有意の逆相関(r=-0.51, p<0.01)を, 大動脈遮断時間との間には有意の正の相関(r=0.75, p<0.001)を示した. 3)PEP/LVETの術後推移は, 弁置換群で0.5~0.6と高値を示し, 心収縮能の低下を示唆した. 4)Q-Z intervalも弁置換群が術後有意の高値を示し, 心収縮能の低下を示唆した. 大動脈遮断時間との間にも有意の正の相間(r=0.54, p<0.05)を示した. 5)心拍出量2.5l/min/m2以下, PEP/LVET 0.60以上, Q-Z index 250m sec以上の症例は, LOSとして積極的な治療を要すると考えられた. 6)inotropic agent投与にて, 各指標の改善が得られない症例は予後不良であり, 投与薬剤の効果を知るうえにこれらの指標は有用であった. 以上により, インピーダンス法による心拍出量, PEP/LVET, Q-Z intervalの各指標は, 開心術後の患者管理に有用であると考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 開心術後, インピーダンスカルディオグラフ, 心拍出量, PEP/LVET, Q-Z interval
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