Abstract : |
26歳, 男子の大動脈弁輪が小さく, 心筋障害のみられた先天性大動脈弁狭窄症再手術例に対して. 部分体外循環下に冠血流遮断を行わず, 左胸腔内でapico-aortic bypass手術を施行し, 好結果が得られた. 本手術の術式として, 胸骨正中切開および上腹部正中切開を行い, 心尖と腹部大動脈間にconduitを作成する方法と, 左開胸を行い, 胸腔内で心尖と下行大動脈間にconduitを作成する方法とがあるが, 後者では, 冠血流遮断を行わずに心尖の位置を動かさずに手術ができる点, 心膜を心尖部へのconduit吻合部の補強に用いられるという点で, 心筋障害のみられる症例や再手術例において有利と思われた. apico-aortic bypass手術は, 通常の手術法で修復の困難な左室流出路や上行大動脈の狭窄症例, ことに再手術例において有用な手術と思われる. 修復の困難な左室流出路や上行大動脈の狭窄症に対するapico-aortic bypass手術が最近注目されているが, われわれも大動脈弁輪が小さく, 心筋障害のみられた先天性大動脈弁狭窄症再手術例において, 部分体外循環下に冠血流遮断を行わず, 左胸腔内でapico-aortic by-pass手術を施行し, 好結果を得たので報告する. |