Abstract : |
左室心尖部-左心耳間に外シャントを作成した急性僧帽弁閉鎖不全犬においてI群β-刺激剤(isoproterenol), II群β-blocker(propranolol)を投与して90分間の経過観察を行い. その血行動態上の影響を検討した. 逆流開始5分値と90分値との比較を行った. 両群とも大動脈圧, 左室拡張末期圧, 左室-左房間シャント量(僧帽弁逆流量)の変動は少なかった. 左房圧(平均)はI群では著明な減少(22.0±2.4→15.7±1.4mmHg)があり, II群では著明な増加(16.7±0.6→20.8±1.6mmHg)があった. 体血管抵抗はI群では43±5%の減少, II群では68±33%の増加があった. 上行大動脈血流量(前方拍出量)はI群では92±14%の増加, II群では31±9%の減少があった. 逆流量比はI群0.79±0.02から0.58±0.03に減少し, II群では0.75±0.01から0.83±0.02に増加した. 外シャントによる僧帽弁逆流面積が一定である条件下では心収縮力の増減は僧帽弁逆流量よりも前方拍出量に大きく関与した. すなわち, 心収縮力の増加による逆流量の減少は軽度で, 前方拍出量が著明に増加した. 逆に心収縮力の減少による逆流量の増加はわずかで, 前方拍出量の減少が著明であった. |