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開心術後急性期の11症例にGlucagon 15mgを1時間持続投与し, 心筋代謝, 血行動態への影響を検索した. 動脈血insulinは投与前16.3±5.6μU/ml(mean±SEM)から投与開始後30分55.7±4.5μU/ml, 投与終了時93.0±4.1μU/ml, 投与終了後1時間53.2±11.0μU/mlといずれも有意増加(p<0.01)した. 冠状動脈-静脈洞(A-CS)insulin較差, すなわち心筋内摂取は投与前-15.3±1.4μU/mlが投与終了時12.4±5.3μU/ml(p<0.05)となり, 動脈血insulinと(A-CS)insulin較差は回帰式Y=0.11X-1.4, n=40, r=0.4(p<0.01)であった. 動脈血乳酸値は投与前21.4±3.0mg/dl, 投与終了時19.2±3.0mg/dl, 投与終了後1時間17.2±2.5mg/dl(p<0.05)と低下した. 心筋乳酸摂取率は投与前7.2±4.7%から投与終了時12.9±5.0%へと増加した. 動脈血乳酸値に対する(A-CS)乳酸較差はGlucagon投与前Y=0.4X-5.58, r=0.85(p<0.01)で, 投与終了時Y=0.36X-4.42, r=0.55(p<0.05)となり, 体外循環前回帰式Y=0.37X-1.37, r=0.65(p<0.01)に近接した. 動脈血糖値は投与前215.3±29.7mg/dlが投与終了時329.1±43.2mg/dl(p<0.01)と増加し, (A-CS)糖較差は著しく増加した. (A-CS)K較差は投与前-0.29±0.16mEq/lで心筋内K遊失が示唆されたが, 投与終了時-0.03±0.05mEq/lとなり, 正常心筋K代謝に回復した. 動脈収縮期圧は101.5±4.5mmHgから投与開始後30分110.9±5.8mmHg(p<0.01)へと上昇し, 1回拍出係数は31.9±3.0ml/beat/m2から投与終了時35.2±3.4ml/beat/m2(p<0.05)と増加した. また, 左室仕事量は投与前の27.9±3.2gmm/beat/m2か投与終了時31.1±3.5gm.m/beat/m2(p<0.05)へと増加し, 左房平均圧は13.1±1.0mmHgから投与終了後1時間10.8±0.9mmHg(p<0.05)へと下降した. Glucagon投与による心筋代謝改善が血行動態改善をもたらし, 二次的分泌のinsulinが重要な働きをする所見が考えられた. |
