アブストラクト(29巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 僧帽弁狭窄症に合併した大動脈弁病変の手術方針について―術後遠隔成績よりみたその評価―
Subtitle :
Authors : 中埜粛, 北村惣一郎, 広瀬一, 宮本勝彦, 賀来克彦, 白倉良太, 井原勝彦, 奥田彰洋, 島崎靖久, 河内寛治, 八木原俊克, 前田世礼, 酒井敬, 佐藤重夫, 岸本英文, 秦石賢, 川島康生, 森透*
Authors(kana) :
Organization : 大阪大学医学部第1外科, *鳥取大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 29
Number : 2
Page : 179-185
Year/Month : 1981 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 僧帽弁狭窄症(MS)に合併した大動脈弁病変の程度は血行動態的にmaskされ過少評価されることがあり, したがってその手術方針に関しては問題となるところが多い. 本研究の目的は, MSに合併した大動脈弁病変の手術方針について処置方法別に術後遠隔成績を検討し, とくに血行動態的検索を加えてその評価を行うことである. (1)対象はMSに対しては直視下交連切開術(OMC)を施行した58例である. 大動脈弁病変に対する処置方法別の内訳はAVR 20例, 軽度の大動脈弁狭窄に対して積極的に交連切開術(AC)を行った24例, および軽度の大動脈弁閉鎖不全(Ar)―Cohn分類II度以下もしくは術中測定した逆流率30%以下―を放置した14例である. 術後観察期間は平均4年3ヵ月であった. (2)手術死亡はない. 再手術例の2例はいずれも僧帽弁病変に対するものであった. 遠隔死亡は4例(6.8%). これらを除く全例に術後臨床症状の改善を認め, 現在とくに大動脈弁病変の増悪は認めていない. (3)AC施行群8例およびAr放置群5例について, 運動負荷をふくむ遠隔カテーテル検査を行った. なお, MS単独症例8例を対照群とした. (4)術後安静時の血行動態は対照群と差はなく満足しうるものであったが, 運動負荷により肺動脈圧は両群とも有意の再上昇を示した. これは運動負荷時の大動脈弁圧較差の増大あるいは大動脈弁閉鎖不全の残存による左室拡張終末期圧の上昇もしくは僧帽弁閉鎖不全の術後発生に起因すると考えられた. (5)運動負荷時において大動脈弁病変の残存により血行動態の異常を呈することがあるが, 教室の手術方針に基づく手術成績, 遠隔成積はほぼ満足し得るものと思われる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 連合弁膜症, 大動脈弁交連切開術, 僧帽弁狭窄症, 大動脈弁閉鎖不全症
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