アブストラクト(29巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 冷却心筋保護の冠血行動態に及ぼす影響
Subtitle :
Authors : 中山頼和, 青景和英, 水取悦生, 芝一成, 水野裕, 川上俊爾, 名和清人, 妹尾嘉昌, 寺本滋
Authors(kana) :
Organization : 岡山大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 29
Number : 2
Page : 218-226
Year/Month : 1981 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 開心術中の冷却心筋保護が, 心機能, 冠血行動態, 心筋酸素消費状態にどのような影響を及ぼすかをRadioactive microsphere法を用いて実験的に検討した. 実験犬は2群にわけ, 体外循環移行後それぞれ60分間の大動脈遮断を施し, その間, 4℃以下に冷却したRinger液を用いた心局所表面冷却(I群), または4℃以下に冷却したModified Krebs液を用いた冠潅流冷却(II群)を行い心筋温を15℃に保った. 体外循環離脱後60分まで観察した. 1)体外循環前から体外循環への変化 総冠血流量は著明に減少し, 血流分布は, 左室から右室, 両心房へと偏位した. 心筋酸素消費量および心筋酸素消費率はともに低下した. 2)冷却前後での変化 総冠血流量は両群とも増加したがI群でより著しく, 血流分布もI群で左室自由壁内層および中隔左室側への著明な偏位がみられた. II群では大きな変化はみられなかった. 心筋酸素消費量は両群とも軽度の増加をみたが群間に差はなかった. 心筋酸素消費率はII群には変化がなかったがI群では低下した. 3)体外循環前から体外循環離脱後60分への変化 両群ともに心機能の低下, 総冠血流量の増加, 血流分布の左室から右室および両心房への偏位をみたが群間に有意差はなかった. 心筋酸素消費量は両群とも軽度増加したが心筋酸素消費率は変化しなかった. 以上より体外循環離脱後60分では両群間に差を認めないものの冷却終了後5分では, 局所表面冷却は, 潅流冷却に比して冠血行動態により大きな変動をもたらしていることが判明した.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 冷却心筋保護, 放射性微粒子法, 冠血行動態, 心筋酸素消費
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