| Authors ： |
前田昌純, 門田康正, 中原数也, 中岡和哉, 谷岡恒雄, 篭谷勝己, 藤井義敬, 橋本純平, 大野喜代志, 川島康生 |
| Abstract ： |
交通事故により発生した気管支損傷の1例を経験した. 症例は5歳, 幼児で, 轢損傷の1つとして右主気管支, 右上葉気管支の裂創が発生した. 翌日, 開胸の上, 気管断裂部の縫合(Tevdek 3-0による連続縫合)が行われたが, 術後約1ヵ月半頃に縫合部の肉芽, 瘢痕性の狭窄が発見され当科に紹介された. 気管支狭窄は, 右上葉支分岐直上の主気管支(内腔90%以上の狭窄)から右上葉気管支(内径約4mm)にかけて局在し, これを切除, 結果的には上葉支の主気管支側々壁を約2mm切り上げ, 中幹気管支内側壁を切込んだ斜めのdouble stoma(内径9mm)と右主気管支との間で, 端々吻合を行った. 術後, 第1病日から約1週間, 吻合部浮腫による上葉無気肺を認めたが改善し, 術後12ヵ月の現在, 狭窄症状もなく日常生活に復帰している. 本症例と, 細い気管支吻合の自験から, 吻合部内腔をできるだけ広くとる吻合操作について考察を加えた. その中で, 吻合縁のeverting効果をねらったU字縫合の追加, 口側stomaを利用した, 末梢側stomaの拡大操作を, 本症例にも応用した. 6歳以下幼児の気管支吻合成功例の報告は, 著者の渉猟範囲では見当らなかった. |
