アブストラクト(29巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 冠血流量および心筋酸素消費量からみた大動脈弁閉鎖不全症の評価
Subtitle : 原著
Authors : 河内寛治, 森透, 北村惣一郎, 広瀬一, 大西健二, 中埜粛, 井原勝彦, 島崎靖久, 八木原俊克, 酒井敬, 榊原哲夫, 川島康生
Authors(kana) :
Organization : 大阪大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 29
Number : 7
Page : 1155-1163
Year/Month : 1981 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 大動脈弁開鎖不全症(AR)14例(男11, 女3, 平均年齢34歳)に対し, 冠状静脈洞血流量(CSF)および心筋酸素消費量(MVO2)を測定し, ならびに左心機能を示す各指標を求め, 正常対照(N)群6例(男6, 女0, 平均年齢46歳)と比較検討した. 1)AR群の全CSFは, 平均188±90ml/min, N群は183±39ml/minで有意差は認めなかった(NS). AR群の単位心筋当たりのCSFの平均は, 46±22ml/min・100gLVとなり, N群では, 124±56ml/min・100gLVとなり, 有意にAR群では減少した(p<0.001). AR群の一心拍当たりのCSF/beat・100gLVは, 平均0.53±0.21ml/beat・100gLVとなり, N群では, 1.92±0.89となり, やはりAR群では有意の減少を示した(p<0.001). 2)AR群の全MVO2の平均は, 17.5±8.8ml/minとなり, N群では17.0±4.8ml/minとなり有意差は認めなかった(NS). AR群の単位心筋当たりのMVO2は, 平均4.3±2.2ml/min・100gLVとなり, N群では11.7±6.8となり, AR群では, 有意に減少した(p<0.002). AR群の一心拍当たりのMVO2は平均0.048±ml/beat・100gLVとなり, N群では, 0.189±0.096であり, AR群では有意の減少を示した(p<0.001). 3)AR群のLVEDVの平均は232±98ml/m2となり, N群の85±16ml/m2に比して増加を示した(p<0.001). AR群のLVMの平均は283±162g/m2となり, N群の95±22g/m2と比して有意に増加を示した(p<0.005). AR群のEFは平均0.46±0.08でN群の0.06±0.06に比して減少した(p<0.002). AR群のmVCFの平均は, 0.78±0.31circ/secであり, N群の1.11±0.15よりも減少を示した(p<0.05). 4)すなわち, 単位心筋当たりの冠状静脈洞血流量および心筋酸素消費量の減少が, 心筋収縮力の低下をもたらし, EFおよびmVCFが減少することを示した.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 大動脈弁閉鎖不全症, 冠状静脈洞血流量, 心筋酸素消費量, 左室機能, 熱希釈法
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