アブストラクト(29巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 表面冷却超低体温下心筋代謝の研究
Subtitle : 原著
Authors : 高錫健, 松本昭彦
Authors(kana) :
Organization : 横浜市立大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 29
Number : 8
Page : 1324-1333
Year/Month : 1981 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 心臓に直接的手術侵襲を全く加えることなく, 超低体温下における心拍停止および心拍動下での心筋代謝に及ぼす影響を酵素学的に研究した. 雑種成犬20頭を用い, エーテル吸入閉鎖麻酔による表面冷却超低体温法にて食道温20°~23℃まで冷却した. 2群に分けて実験を行った. I群はYoung液使用による心拍停止を, II群は冠肺循環心拍動をそれぞれ30~40分間行った後に循環を再開させた. 両群ともに次の時点での血清CPK総活性値およびそのアイソエンザイムを測定した. (1)麻酔導入直後, (2)心拍動停止または大循環遮断直後, (3)心蘇生または大循環再開直後, (4)復温時(冷却前の体温復帰時). (5)復温後3時間. 血清CPK総活性値と血清MM-CPK値は時間経過とともに上昇していった. これは時間経過に伴う手術操作により骨格筋が損傷されたためと思われた. I群の血清MB-CPKは一頭を除き, 全経過を通じて認められなかった. この1頭では麻酔導入直後より麻酔および手術操作とは関係なく変動する極少量の血清MB-CPKが認められたが, これは低体温または心停止による心筋傷害のためとは思われなかった. II群の血清MB-CPKは順調な大循環再開を得たものでは全経過を通じて認められなかった. 血清MB-CPKの推移により見るかぎり, 表面冷却超低体温下心拍停止は循環遮断30~40分間では心筋代謝に大きな影響がないものと思われた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 表面冷却超低体温麻酔, 心筋代謝, 超低体温下心停拍止, 冠肺循環, MB-CPK
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