アブストラクト(29巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 心表面興奮伝播図の自動表示に関する研究 第2編 Wolff-Parkinson-White症候群の心表面興奮伝播図
Subtitle : 原著
Authors : 岩瀬孝明, 岩喬
Authors(kana) :
Organization : 金沢大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 29
Number : 8
Page : 1345-1358
Year/Month : 1981 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : WPW症候群の外科治療に際しては, 副刺激伝導路の部位確定のために心表面興奮伝播図の作製は不可欠である. 本研究の第1編で報告した心表面興奮伝播図自動表示システムを用いて作製されたWPW症候群20症例の心表面興奮伝播図を検討し, 以下の結果を得た. 副刺激伝導路の位置に対応した特徴的な心表面興奮伝播図が得られた. すなわち, 右心型では右房室間溝の最早期興奮部位付近では密で, 右室前面中央部付近では粗な配列の, 同心円状の興奮前線により右室表面が支配された. 前中隔型では肺動脈円錐部右側に限局して最早期興奮の影響がみられたが, 右室表面の大部分は正常興奮伝播様式であった. 後中隔型ではcrux右側の最早期興奮から始まる同心円状の興奮前線が右室横隔面を支配したが, 右室前面では肺動脈円錐部に向かう平行な配列の興奮前線が示された. 左心型では, 左房室間溝の最早期興奮から始まる同心円状の興奮前線が左室表面を支配した. 右室表面では, 副刺激伝導路の位置により興奮伝播様式は若干異なったが, 右室前面の興奮伝播様式はおおむね正常に保たれた. 以上の所見を分析すると, WPW症候群の心表面興奮伝播図は副刺激伝導路を介する最早期興奮と, 房室結節を介する正常興奮との融合波により構成されていると考えられた. 心表面早期興奮領域の範囲は各型によって異なり, 中隔型では狭小であった. この所見と心表面興奮伝播様式の特徴とを組み合わせて考えると, 従来は困難であった中隔型と中隔近傍の自由壁型副刺激伝導路との部位鑑別診断が可能となった. また, 幼児の心臓電気生理現象は年長児, 成人とは区別して比較すべきこと, 術後心表面興奮伝播図には右脚ブロック型もあり, 留意すべきであることなどが明らかになった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : WPW症候群, 心表面興奮伝播図, 心表面早期興奮領域, 中隔型と中隔近傍の自由壁型副刺激伝導路の部位鑑別
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