アブストラクト(29巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 長期陽圧呼吸により治癒せしめえた特発性食道破裂の1例─本邦報告107例の検討─
Subtitle : 症例
Authors : 三好新一郎*1, 池田正人*1, 城戸哲夫*1, 松田康雄*1, 深田隆三*1, 中島邦也*1, 伊豆蔵豊大*1, 康重雄*2, 松田暉*2, 天野勝*3, 北田正治*4, 森田久樹*5
Authors(kana) :
Organization : *1大手前病院外科, *2大手前病院心臓外科, *3大手前病院麻酔科, *4大手前病院内科, *5桜橋渡辺病院内科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 29
Number : 8
Page : 1381-1386
Year/Month : 1981 / 8
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 広範な胸膜炎を合併した特発性食道破裂の1治験例を報告し, 合せて本邦107例の集計より, とくに治療法についての考察を加えた. 症例は49歳の男性で, 胸腔ドレナージ, 高カロリー輸液にて改善の兆候なく, 発症後29日目に縫合閉鎖術を施行した. しかし術後5日目縫合不全が確認され再度縫合閉鎖術を試みた. 加えて, 創部の安静のため術後より2週間陽圧呼吸をさせたところ治癒した. 再手術後8日目, 陽圧呼吸時の胸腔内圧は-2.5mmHgで一定していたのに対し, 自発呼吸時の最低陰圧は-30mmHgであった. これより, 自発呼吸時のこの大きな陰圧が縫合不全の引き金となる一方, 陽圧呼吸は創部の安静・治癒に有効に働いたと思われた. また, 107例の集計によると今日早期発見治療例の予後は著明に改善しているが, 自験例のごとく広範な胸膜炎合併例の予後はいまだ悪い. これらの症例に対する治療法の補助手段として, 陽圧呼吸は意義があると思われた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 特発性食道破裂, 縫合不全, 陽圧呼吸
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