アブストラクト(29巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 心筋保護下開心術後の酵素活性変動に関する研究
Subtitle : 原著
Authors : 元広勝美*, 藤原巍*, 佐藤方紀*, 衣笠陽一*, 木曽昭光*, 勝村達喜*, 梶谷文彦**, 伯耆徳武**
Authors(kana) :
Organization : *川崎医科大学胸部心臓血管外科, **川崎医科大学ME
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 29
Number : 9
Page : 1438-1444
Year/Month : 1981 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 心臓手術前後に血中の酵素活性値を測定して術中の心筋保護効果の有効性を検討した. 対象は44例の成人心疾患で, これを3群に分けた. I群(先天性心疾患で心筋切開+無心筋保護群)9例, II群(弁膜疾患で心筋切開+心筋保護群)19例, III群(虚血性心疾患で無心筋切開+心筋保護群)16例である. その結果は1. 総LDHは術後24時間まではII群の上昇が著しく他群との間に有意差を認めた. 2. LDH1+2/総LDHはI群では0.7以上をとる傾向が強く, II群は略0.7以下, III群では全経過0.66以下であった. LDH1/LDH2はII, III群ではすべて1.0以下であるのに対し, I群では1.0以上を示した. 3. 総CPKは術後I群の上昇が著しいが, II, III群の上昇は緩やかで, 3群ともに4~5日で正常域に復した. CPK-MB活性値はIII群が最も低く, 最も速く正常化したが, I群の活性値は最も高く, かつ正常化が遅延した. 4. ΣLDHのI, II, III群の値は3,753.7, 3,417.6, 3,570.8IU/Lで, 3群間に有意差はなかった. ΣCPKのI, II, III群の値は14,055.9, 6,556.3, 6,638.9IU/Lであり, IとII, III群間に有意差をみた. ΣCPK-MBのI, II, III群の値は1,183.8, 689.8, 343.7IU/Lであり, 各群間に明らかな有意差を認めた. ΣGOTのI, II, III群の値は2,714.8, 1,254.5, 977.8IU/Lであり, I群の遊出が著しかった. 以上の結果より, 心筋切開+無心筋保護のI群はII, III群に比して酵素遊出量が著しく多い. IIとIII群の相違は心筋切開の有無にもよるが, この両群においてΣCPKに全く有意差がないことを考えると, IとII, III群の間の差は無心筋保護+常温体外循環によるものと考えるべきである. LDH分画比, ΣCPK, ΣCPK-MBの変動からみて, われわれの心筋保護法の適切性と有効性を認めた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 心筋保護, 減衰率, LDH1/LDH2, CPK-MB, ΣCPK-MB
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