アブストラクト(29巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 巨大左房を伴った僧帽弁膜症の外科治療─術後呼吸管理の特殊性について─
Subtitle : 症例
Authors : 志田力*, 岡田昌義*, 河野富雄*, 津嶋昭平*, 中村和夫*, 丸川征四郎*
Authors(kana) :
Organization : *神戸大学医学部第2外科, **神戸大学医学部麻酔科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 29
Number : 10
Page : 1666-1673
Year/Month : 1981 / 10
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 僧帽弁膜症に合併した巨大左房の2手術治験例を報告した. 第1例は21歳女性で, CTRは96%であり, 僧帽弁閉鎖不全及び三尖弁閉鎖不全に対し, 僧帽弁と三尖弁の両弁置換を行った. 術後不整脈, 心不全を来したが, 術直後から心陰影はよく縮小し, 呼吸管理は比較的容易であった. 第2例は29歳男性で, CTRは99%であり, 僧帽弁閉鎖不全に対し, 僧帽弁置換を行い, 同時に三尖弁形成および左房壁の切除縫縮を行った. 術後血行動態は安定していたが, 心タンポナーデによる再開胸後, 呼吸不全におちいり, 4週間の人工呼吸を必要とした, 術後の心陰影の縮小は軽微であった. 気管支鏡検査を行ったところ, 左房の圧迫による気管支の狭窄性変化が, 術後しばらく続き, 心陰影の縮小とともに改善するのが認められた. このことから, 巨大左房例は, 左房による気管支, 肺への圧迫が術後しばらく続く例があり, このような例では, 再手術などの影響により, 分泌物の貯留, 無気肺の発生などを来し, 容易に呼吸不全に陥いりやすいものと考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 巨大左房, 僧帽弁置換術, 術後呼吸不全, 気管支ファイバー検査
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