アブストラクト(30巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 大動脈弁閉鎖不全症に対する大動脈弁置換術後の増加せる冠血流量
Subtitle : 原著
Authors : 河内寛治*, 広瀬一, 大西健二, 中埜粛, 島崎靖久, 八木原俊克, 酒井敬, 榊原哲夫, 森透**, 川島康生, 北村惣一郎*, 康重夫*, 大山朝賢*
Authors(kana) :
Organization : 大阪大学医学部第1外科, *奈良県立医科大学第3外科, **鳥取大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 30
Number : 1
Page : 36-43
Year/Month : 1982 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 大動脈弁閉鎖不全症に対し, Bjork-Shiley tilting disc弁による大動脈弁置換術を施行した6例を対象とした. 術前後に, 持続的熱希釈法による冠状静脈洞血流量(CSF)及び心筋酸素消費量(MVO2)の測定, ならびに両心カテーテル検査及び左室造影より得られる左室機能を示す諸指標を求め, 比較した. 1. 全量のCSFは術前190ml/minから術後149ml/minと有意に減少した(p<0.02). しかしながら, 単位心筋当たりのCSF/100gLVは術前37ml/min/100gLVから術後56±23ml/min/100gLVとなり, 全例増加した(p<0.001). また, 一心拍当たりのCSF/beat/100gLVも術後には増加した(p<0.001). 2. 全量のMVO2は術後減少した(p<0.02). 単位心筋当たり及び一心拍当たりのMVO2は術後増加傾向を示すが有意差は認めなかった(NS). 3. 冠血流量を規定する大動脈拡張期圧は術後増加し, 左室拡張末期圧は減少した. DPTIは増加し, DPTI/SPTI比は正常値を示した. 4. 左室容積, 心筋重量ならびに左室壁Stressは術後, 著しく減少し, 左室駆出率(EF)及びmVCFは正常値を示し, 左室機能は著明に改善した. また, 心筋重量の減少及びStressの減少にともない全量の冠血流量は減少する. しかしながら, 単位心筋当たりのCSFは増加を示し, EF及びmVCFが正常値を示すことと合わせてその増加が, 術後のcontractilityを改善させているものと考えられる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 大動脈弁閉鎖不全症, 大動脈弁置換術, 冠状静脈洞血流量, 心筋酸素消費量, 左室機能
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