アブストラクト(30巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 肺微小循環観察のための拡散換気生体肺固定法
Subtitle : 原著
Authors : 蘇原泰則, 三井清文, 堀原一
Authors(kana) :
Organization : 筑波大学臨床医学系外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 30
Number : 2
Page : 149-156
Year/Month : 1982 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 本研究の目的は生体顕微鏡下肺微小循環観察のための安定した生体肺固定法の確立にある. 換気方法はMeltzerらの手技を改良した拡散換気法で, 換気運動を阻止し気層内ガス拡散にて換気させるものである. 100%O2を吸入気とした全肺拡散換気群では肺静脈血炭酸ガス分圧値が78.9±18.9mmHg(対照群17.8±5.4mmHg)と著増し, 平均肺動脈圧も22.6±8.5mmHg(対照群18.4±7.1mmHg)と有意に上昇し, 肺微小循環観察のための対象肺として不適であると判断した. 肺微小循環観察に供しない右側肺を一回換気量13ml/kg, 呼吸数毎分30で換気させ, 左側肺を吸入気50%O2 in N2, 分時換気量13×15ml/kgで拡散換気させた群での左側肺静脈血ガス分析値は炭酸ガス分圧が30.1±9.0mmHg(対照群19.6±6.9mmHg)とわずかに上昇したのみで, 酸素分圧は163.1±74.7mmHg(対照群98.1±20.6mmHg)を示した. 平均肺動脈圧20.4±4.4mmHg(対照群20.6±8.6mmHg), 肺動脈主幹部流量74.0±8.1ml/kg・min(対照群74.4±5.6ml/kg・min), 左肺動脈流量対肺動脈主幹部流量比0.44±0.12(対照群0.46±0.08)と肺循環諸量も正常値を示し, 肺微小循環観察のための対象肺として充分な肺循環状態を呈しているものと判断した. 最後に50%O2 in N2で片肺拡散換気を行った犬肺表面の直径約80μmの肺細動脈で色素を標的とした血流速度測定を行い, 平均血流速度2.7mm/secの値をえた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : pulmonary microcirculation, in vivo microscopy, diffusion respiration
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