アブストラクト(30巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : ファロー四徴症根治手術─手術成績向上のための適応基準, 手術手技, 術後管理─
Subtitle : 原著
Authors : 内藤泰顕*, 藤田毅*, 富野哲夫*, 田中一彦*, 康義治*, 磯部文隆*, 林研二*, 曲直部寿夫*, 山田修**, 広瀬修**, 神谷哲郎**
Authors(kana) :
Organization : *国立循環器病センター心臓外科, **国立循環器病センター小児科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 30
Number : 2
Page : 200-206
Year/Month : 1982 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1978年1月~1981年3月までに65例のファロー四徴症に根治手術を施行し, 手術死亡1例(1.5%)と手術成績を向上させ得たので, その手術成績とともに, 現在採用している手術手技, 手術適応, 術後管理などの基準につき検討を加え報告した. 65例の年齢は1歳~47歳(平均9.6歳)で, 1歳台14例, 2歳台11例と1~2歳が全体の38%を占めた. 肺動脈と大動脈基部との径比は0.16~1.15(平均0.59), 左右主肺動脈の平均断面積と正常右主肺動脈断面積との比(PAarea/N-rPAarea)は0.18~1.21(平均0.62)であった. 死亡の1例は左室拡張末期容積指数(LVEDVI)が21ml/m2と極度に左室が小さい1歳の症例で, 重篤な左心不全のため死亡した. 本例は本来手術適応外とすべき症例であった. 手術の補助手段としては全例に中等度低体温体外循環, cardioplegiaおよび心局所冷却が用いられた. 1. 手術手技:右室漏斗部の縦切開を用い, 切開の大きさを右室全長の40%以内にとどめるように努めた. parietal bandは十分切離し, 原則として心筋切除を行わず, 同部をパッチ拡大した. 心室中隔欠損の閉鎖に当たり右脚の走行する, いわゆるfusion lineの損傷をさけるようにした. CRBBBの発生は1980年には45.1%, 1981年には12.5%に減少した. 右室流出路の拡大は著者の基準に従い, 肺動脈弁輪を越え大きくパッチ拡大を必要としたものは23例で, 全例に1弁付パッチを用いた. 2. 手術適応:(1)年齢は1歳以後, (2)左右の主肺動脈の太さがPAarea/N-rPAarea≧0.2の条件を満し, これより末梢に狭窄がないこと. (3)LVEDVIが30ml/m2以上. 3. 術後管理:本症術後の血行動態を検討した結果, 一般に本症の右室は小さいため, 術後右心不全のみならず左心不全に陥りやすい. そのため中心静脈圧のみならず左房圧をモニターし, 左房圧を12mmHg以下, 心係数2.7l/min/m2以上に維持することが大切である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : ファロー四徴症根治手術, ファロー四徴症の術後管理
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