Abstract : |
急性心筋梗塞の手術に際して, 術中において心筋虚血範囲を識別できる方法を考案する目的で本実験を行った. あらかじめ左室前壁に急性心筋梗塞を作成し, その梗塞部位を, 心外膜心電図, 心筋表面pH測定, ラジオアイソトープによるmapping及び可視下にFluorescein Na静注を行い, 以下の結果を得た. 1. 心外膜心電図では, 健常部でのSTの上昇はなく, 虚血部で6.03±2.28mVの上昇があった. 2. 心科表面pH測定では, 健常部で平均8.05±0.28であったのが, 虚血部では平均7.46±0.33と下降を示した. 3. ラジオアイソトープ法では, 健常部で平均370±42cpmの値であったのが, 虚血部では平均175±84cpmと低下を示した. 4. 心筋表面pHと心外膜心電図のST segmentの上昇との間にはr=-0.8022の相関が, 心筋表面pHと心外膜よりアイソトープ測定のカウント率との間にはr=0.8479の相関がみられた. また, 心外膜心電図のST segmentの上昇と心外膜よりのアイソトープ測定のカウント率との間にはr=-0.8812の相関がみられた. 5. Fluorescein Na静注法では, 可視下に心筋虚血部の範囲がはっきりと識別することができた. これらの方法を利用すれば, 緊急を要する急性心筋梗塞における手術に際して, 梗塞部位及び虚血範囲を判別する方法として有用であると考えられる. |