アブストラクト(30巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 心臓カテーテル検査中に心穿孔・タンポナーデを合併した重症弁膜症の三症例:その対策並びに処置に関する検討
Subtitle : 症例
Authors : 瀬々顕, 田中二郎, 上野安孝, 中野英一, 松井完治, 安井久喬, 徳永皓一
Authors(kana) :
Organization : 九州大学医学部心臓外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 30
Number : 2
Page : 263-271
Year/Month : 1982 / 2
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 重症弁膜症に対する心臓カテーテル検査中に心穿孔を起こし, 心タンポナーデを発症した3症例を経験した. いずれも胸骨正中切開下に心膜切開を行い救命しえた. 大動脈弁狭窄症の症例2では心膜切開に引き続き体外循環を導入し, 出血部の縫合並びに大動脈弁置換を施行した. 術後の心機能に問題なく, 順調に回復した. ターポナーデの処置のみで原疾患(症例1. 上行大動脈瘤+大動脈弁閉鎖不全症, 症例3. 大動脈弁狭窄症+僧帽弁狭窄症)を放置した2症例では, 術後心不全が急速に増悪したため, 原疾患に対して弁置換手術を施行せざるを得なかった. これは心タンポナーデ経過中に心筋障害を来し, タンポナーデ解除後も心機能は改善せず, 原疾患である弁膜症と相まって心機能を急速に悪化させていったものと考えられた. このように心筋予備力が少なく, 心機能の低下した重症弁膜症に心タンポナーデが合併すれば, タンポナーデ解除後も心機能が急激に悪化する恐れがあるため, 原疾患に対しても早急な治療が望まれる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 心臓カテーテル検査, 心穿孔, 心タンポナーデ, 心筋障害, 弁置換手術
このページの一番上へ