| Authors ： |
早瀬修平*, 清水健*, 渡辺孝*, 竹内栄二*, 椙山直敏*, 野垣英逸*, 田中稔*, 村瀬允也*, 阿部稔雄*, 弥政洋太郎*, 清水一之** |
| Abstract ： |
膜型及び気泡型人工肺の感染防御機構に及ぼす影響を比較検討する目的で, 膜型人工肺(Travenol TMO)を使用した体外循環下開心術10例(膜型群)と気泡型人工肺(Harvey H1100, H1000, or Shiley 100A)を使用した体外循環下開心術26例(気泡型群)とに, 各種の免疫学的検査(多核好中球数, リンパ球数, T細胞数, B細胞数, IgG-FcR+-T細胞数, 免疫グロブリン分泌細胞数, 免疫グロブリン〔IgG, IgM, IgA〕血中濃度, 補体成分〔C3, C4〕血中濃度)を経時的に施行して, 次のような結果を得た. 1)多核好中球数の変動の程度は膜型群の方が軽度である. 2)リンパ球subpopulationsの量的質的変動は両群間で差がない. 3)免疫グロブリン, 補体成分の減少率を, ヘマトクリットを指標とした稀釈率で補正した値で比較すると, 体外循環1時間では膜型群の減少率の方が高い. 2時間では同程度であり, 3時間ではIgAを除き膜型群の減少率の方が低くなる. 有意差は認められないが, 両群間の差は大きい. 以上より, 感染防御機構からみると, 膜型人工肺は2時間以内の開心術では不利であり, 3時間以上の開心術では有利であると考えられる. |
