アブストラクト(30巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 開心術後における栄養管理
Subtitle : 原著
Authors : 公文啓二*, 田中一彦*, 磯部文隆*, 岸本康明*, 高原善治**, 内藤泰顕**, 藤田毅**
Authors(kana) :
Organization : *国立循環器病センターICU, **国立循環器病センター心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 30
Number : 7
Page : 1227-1234
Year/Month : 1982 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 開心術後における低栄養状態は, 心機能, 呼吸予備力, 感染防禦能の低下をもたらしその予後を左右するため, 高カロリー輸液を中心とした積極的な栄養治療法が近年注目されている. 本研究では, 開心術後の栄養補給量を明確にするために, 術後4日以上の長期挿管を要した成人29例, 小児7例, 乳児13例を対象に, 栄養消費の面から検討を加えた. 対象症例の体重を標準体重と比較すると成人92%(後天性疾患86.7%, 冠動脈疾患104.1%), 小児74.5%, 幼児62.6%で, 冠動脈疾患以外はいずれも有意な体重減少を示し, 術前よりの低栄養状態の存在が認められた. 成人開心術後症例で, 術後のStress Indexの多くは5以上で, 著明なcatabolismの亢進がみられた. 酸素消費量を, 熱希釈法で測定した心拍出量と動脈-混合静脈血酸素濃度較差を用いてFick式に基づき算出した. 得られた酸素消費量より, エネルギー消費量を酸素燃焼熱量(4.825Cal/l)より算出した. 成人のエネルギー消費量は26.5±11.9Cal/kg/day, 小児で67.3±25.0Cal/kg/day, 幼児で69.5±14.2Cal/kg/dayであつた. 室素損失量を, 1日の尿中尿素排泄量, 血中窒素変化量, 不可避損失室素量より算出した. 得られた室素損失量から蛋白異化量を理論式(蛋白異化量=6.25×窒素損失量)により求めた. 蛋白異化量は成人で2.12±0.65g/kg/day, 小児で1.52±0.39g/kg/day, 幼児で1.45g/kg/dayであった. 以上の結果, 開心術後急性期における栄養補給量として, 成人で約30cal/kg/dayのカロリー量, 2.0g/kg/dayのアミノ酸, 小児及び乳児で約70Cal/kg/dayのカロリー量, 1.5g/kg/dayのアミン酸投与を行えば, 消費するエネルギーは補われ飢餓状態は防止し得ると思われる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 栄養, 酸素消費量, 蛋白異化, 高カロリー輸液, 開心術
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