アブストラクト(30巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 肺高血圧を合併する心室中隔欠損症の術後遠隔期運動負荷成績-手術時年齢10歳未満例について-
Subtitle : 原著
Authors : 島崎靖久, 北村惣一郎, 中埜粛, 友国隆, 八木原俊克, 佐藤重夫, 榊原哲夫, 岸本英文, 小川實*, 大西健二, 広瀬一, 川島康生
Authors(kana) :
Organization : 大阪大学医学部第1外科, *大阪大学医学部小児科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 30
Number : 7
Page : 1235-1241
Year/Month : 1982 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 肺高血圧を合併する心室中隔欠損症の根治手術目的は単に短絡路の閉鎖のみにとどまらず, , 肺循環機能及び心機能の正常化であり, これは安静時のみならず, 運動負荷時にも得られなければならない. 術前肺高血圧, 高肺血管抵抗を合併した手術時年齢10歳未満の心室中隔欠損症12例, 心室中隔欠損症兼動脈管開存症2例の計14例に術後平均9年の遠隔期に運動負荷を行い, 肺循環動態及び心機能につき検討した. 術前, 肺体血管抵抗比(Rp/Rs)が0.15以上0.50未満の中田による左右短絡性心疾患の機能分類)10)C群に相当する8例においては, 手術時年齢平均4.9歳, 術後観察期間平均8.8年であり, 安静時, 動動負荷時ともに肺循環動態は正常反応を示した. 心拍出量の増加は良好であったが, 左室拡張末期圧は安静時平均8mmHgから運動負荷時平均13mmHgへと有意(p<0.05)に上昇し, 異常高値を示し, 左室機能不全の存在が示唆された. 0.50≦Rp/Rs<1.0の中田の分類のD.E群に相当する6例においては, 手術時年齢平均4.8歳,術後観察期間平均9.5年とC群例と差を認めなかった. 安静時は正常の肺循環動態, 心機能を示したが, 運動負荷時には肺動脈平均圧は安静時平均22mmHgから31mmHgへと有意(p<0.05)に上昇し, 肺高血圧, 高肺血管抵抗を示した. 肺動脈平均圧, Rp/Rs, 肺血管抵抗値はすべて安静時はC群例との間に差を認めなかったが, 運動負荷時には肺動脈平均圧, Rp/Rs, 肺血管抵抗値はいずれも有意(p<0.05)にC群例よりも高値であった. 運動負荷による心拍出量の増加は良好で, C群と同じ値を示した. 左室拡張末期圧は, 運動負荷時に高値を示したがC群と同じ値であり, 左室機能不全が示唆された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 心室中隔欠損症, 肺高血圧, 運動負荷, 手術時年齢
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