アブストラクト(30巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 乳幼児開心術に対する灌流冷却超低体温法の研究(第1報)
Subtitle : 原著
Authors : 佐々木孝, 星野豊, 安喰弘, 塚本勝, 稲岡正己, 横山秀雄, 小松作蔵
Authors(kana) :
Organization : 札幌医科大学胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 30
Number : 7
Page : 1257-1263
Year/Month : 1982 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 灌流冷却超低体温法は各臓器間の温度較差が大きく, 術後肝障害発生の頻度が高いとされ, 一時施行されてはいたが, 現在では表面冷却・体外循環併用法が一般的となっている. 最近我々は灌流冷却超低体温法にて30例に開心術を行い低体温に起因する合併症はなく, 安全に行い得る有用な方法と考え報告する. 麻酔はMorphine+N2OのNLA変法で末梢血管を拡張させ, 体外循環中においても随時血管拡張薬を使用して末梢循環を良好に保ち, 前額深部温. 足底深部温, 直腸温を同時にモニターすることにより各部位の不均等冷却を予防した. また, 全症例に膜型人工肺を使用し, 微小気泡の発生を予防すると共にPaCO2を自由にコントロールしhypocapneaの状態にならぬよう留意した. 灌流平均圧は60~70mmHgを維持し, 灌流量は3.0L/min/m2以上の高流量灌流とし, 30例の平均は3.2±0.6L/min/m2であった. 直腸温18~19℃で循環停止としているが, 冷却時間は平均28.10±9.7分, 加温時間は52.86±15.4分, 循環停止時間は37.59±17.7分であった. 術後2週間までの血清酵素学的検索では表面冷却併用群と差を認めず, 術後の頭部C-Tスキャンにても24例中3例, 12.5%に軽度の脳実質の縮小を認めるのみで, 臨床上は全く異常を認めていない. C-Tスキャン上の異常所見を呈した3例は, いずれも循環停止時間が60分を越えており18℃前後の低体温では許容循環停止時間は60分が限度と思われる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 乳幼児開心術, 灌流冷却超低体温法, 深部体温, 頭部C-Tスキャン
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