アブストラクト(30巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : Blalock-Taussig手術の術後成績, 特に短絡流量についての検討
Subtitle : 原著
Authors : 赤坂忠義, 伊藤健二, 大川恭矩, 清水進, 和気一夫
Authors(kana) :
Organization : 神奈川県立こども医療センター胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 30
Number : 7
Page : 1264-1272
Year/Month : 1982 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 過去10年間に105例に対し116回のBlalock-Taussig手術を経験した. このうち最近の63例で, 短絡完成後, 鎖骨下動脈で, 短絡流量を測定しそれへの関係因子と, 適正流量値についての検討をした. 術後早期死亡は14例(12%), 遠隔期死亡は18例(17%)で, 2次的根治手術後の死亡を除くと短絡不全に帰因するものが多い. 合併症として, 1歳末満例で大動脈弓対側での短絡術後にみられる横隔膜神経麻痺(50%)が特徴的である. 遠隔期での患者生存率, 短絡開存率は, 手術時年齢1歳末満例で低く, 乳児, 新生児に対する本手術は, 長期予後からみていまだ不満足である. 短絡流量(ml/kg/min)は63例で42.5±24.1(平均±S.D.)を得た. 短絡流量は体重と指数曲線の回帰式を作るが, 相関係数は0.29と低く, ばらつきが大きいが, これに従えば, 体重7kgで約50ml/kg/min, 体重4kgで約25ml/kg/minの流量が得られることになる. 手術時年齢6ヵ月末満では, 27.2±14.0(n=17), 6ヵ月以上1歳末満で48.9±31.0(n=11), 1歳以上で47.6±21.9(n=35)で, 6ヵ月末満で有意に低い(p<0.01). 手術時体重5kg末満でも, それ以上に比して有意に低値を示した(p<0.01). 又, 大動脈弓と同側での短絡では33.1±19.3(n=22), 対側では, 47.5±24.7(n=41)で, これも有意差を示した(p<0.01). 遠隔期成績からRetrospectiveに流量をみると, 術後2年以内に短絡閉塞した例では29.4±12.8(n=16), 1年以上開存した例では49.8±25.0(n=43), 2年以上開存した例では51.6±25.1(n=33), となり, 有意に短絡閉塞例で低い(p<0.01). 以上より, 流量としては50ml/kg/min以上であれぽ短絡は十分長期間開存していることが期待でき, 30ml/kg/min以下では, 閉塞の可能性ありと考えられ, 本手術における適正流量値として, 50ml/kg/minをひとつの指標にして良いと思われる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : Blalock-Taussing手術, 短絡不全, 短絡開存, 短絡流量, 適正流量
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