アブストラクト(30巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 単極型心室抑制型demandペースメーカーにおける筋電位抑制の研究
Subtitle : 原著
Authors : 会田博, 山口繁
Authors(kana) :
Organization : 金沢医科大学第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 30
Number : 8
Page : 1374-1385
Year/Month : 1982 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 56例の単極型心室抑制型demandペースメーカーに対し, 4方法の筋電位抑制試験(Myopotential Inhibition Test:MIT)を行い, またgeneratorのsensing特性測定と筋電位の周波数分析を行うことにより, 筋電位抑制の発生頻度, 発生原因, その防止治療対策等を検討した. MIT陽性率は56例中34例(60.7%)であり, 特にSiemens-Elema668は20例中19例(95%)が陽性であった. 4方法のテスト別では腕立て伏せテストに高頻度に認められ, 大胸筋電位のgeneratorへの影響が強いものと考えられた. Generatorの植え込み位置別頻度では, 前胸部皮下に比し腹壁皮下では発生頻度は少なく, 腹直筋による筋電位抑制の影響は少ないと考えられた. 5機種のgeneratorに対しsin2波test pulseによりsensitivity特性を調べ, peak frequencyとminimum sensing voltageと筋電位抑制の関係を検討した所, minimum sensing voltageが1.5mv以下の小さいものほど筋電位抑制頻度が高い結果を得た. 大胸筋, 腹直筋と心内膜電極間においてそれぞれの筋肉を等尺収縮させて得られた筋電位をフーリエ変換し振幅と周波数分析を行った所, これら筋電位の有意なenergy componentは200Hz以内に限局し, しかも最大energy levelも20~70Hzの低周波数領域にみられQRS周波数領域と共存しており, 大胸筋電位のpower densityもgeneratorがsensingするのに十分な電位を有しているために容易に大胸筋の筋電位抑制を受けると考えられた. 一方腹直筋電位は大胸筋電位より小さく, 腹壁皮下に植え込まれたgeneratorは筋電位抑制を受けにくいと考えられた. 筋電位抑制対策として, (1)sensitivityは1.5mvまで下げたものを使用する, (2)腹壁皮下へgeneratorを植える, (3)双極電極の使用, (4)心室同期型又は固定レート型への変更, (5)programmableペースメーカーの使用. 等が考えられた. なお, 腹壁皮下にgeneratorを植え込むことが筋電位抑制防止対策になることを臨床的に実験的に証明したものは本研究が最初である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 単極型心室抑制型demandペースメーカー, 筋電位抑制, 筋電位周波数分析, ペースメーカーfilter特性, プログラマブルペースメーカー
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