Abstract : |
手術手技及び周辺手技向上に伴い, 3弁外科治療例が増加しつつあるが, 我々の教室において, 1974年から1980年までに62例の3弁外科治癒を経験した. 急性期死亡8例(12.9%), 遠隔期死亡4例((6.5%)であった. 死因は, 急性期:出血6例, LOS4例, 不整脈2例, 脳神経障害1例, 遠隔期:感染3例不明1例であった. 施行された手術は, 大動脈弁置換(以後AVR)-僧帽弁置換(MVR)-三尖弁形成術(TAP)47例, MVR-大動脈弁形成術(AVP)-TAP7例, 僧帽弁交連切開術(OMC)-AVR-TAP3例, OMC-AVP-TAP3例, MVR-AVR-三尖弁置換(TVR)2例であった. TAPは主にDe Vega法を用いて安定した成績を得ている. 術前の心機能の検討にて, 左心機能低下のみならず右心機能低下がみられ, 死亡例において, その傾向が強かった. 生存例における外科的療の結果は, ほぼ満足できるといえるが, NYHA分類にてIII,IV度が残在しており今後の問題と言える. 術後のCTRは有意の改善を得た. 生存例, 死亡例ともに, 周辺臓器機能低下例が多かったが, 死亡例において, 特に腎機能低下が多かった. 死因と弁病変, 外科治療との直接の関連は見出せなかった. 右心不全の指標として, 右表拡張末期圧は, よい指標となりうる. 死因は, 一因的ではなく, 多方面にわたる注意のもとに死亡率の低下が得られると思われた. |