アブストラクト(30巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 腹部主要分枝起始部空置による胸腹部大動脈瘤の1手術治験例
Subtitle : 症例
Authors : 釘宮敏定*, 草場英介*, 宮川尚孝*, 福島建一*, 黒岩正行*, 調亟治**
Authors(kana) :
Organization : *長崎大学医学部第1外科, **大分医科大学外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 30
Number : 8
Page : 1457-1463
Year/Month : 1982 / 8
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 胸部下行大動脈より腎動脈分枝部に及ぶ胸腹部大動脈瘤に対して, 病変軽度な腹部主要分枝部を空置する術式による手術を施行し, 術後1年6ヵ月の現在順調な経過をたどっている症例を経験したので, 本邦手術例の集計と文献的考察を加え報告した. 患者は53歳男, 船員で, 主訴は腰痛, 背部痛であった. 手術は食道温30.5℃の低体温下にStoneyらの術式で左胸腔及び後腹腔を開き, 18mm woven Dacron人工血管により下行大動脈から腎動脈分枝部末梢の腹部大動脈に至る永久的バイパスを設置, 病変の軽度な腹腔動脈分枝部以下を空置して, 動脈瘤の直上部と腹腔動脈の直上部で大動脈を切離, 動脈瘤切開後両断端を縫合閉鎖した. 術後脊髄障害などの合併症もなく順調である. 本邦手術報告例は28例であるが, 3ヵ月以上の生存例は17例(61%)にすぎない. 本例では軽度病変部の空置が手術侵襲の軽減と術後合併症の防止に有用であったと考えている.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 胸腹部大動脈瘤, spiral opening法(Stoney), 大動脈瘤, 術後対麻痺
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