Abstract : |
拍動流体外循環の血行動態, 代謝に及ぼす効果を実験的に犬を用いて検討した. 方法は, 常温下, 一定送血量80cc/kg/minにて約2時間のnonworking beating heartを施行し, この間6頭には拍動流体外循環を行い(拍動群), 他の6頭には定常流体外循環を行い(定常群), 対照群とした. この方法で心拍動時の心筋及び全身の血行動態, 代謝の変化を体外循環離脱直後まで経過を追い, 両群を比較検討した. 1)送血カニューレを大動脈と直角に位置させることにより, 中枢側, 末梢側いずれにも拍動流が生ずることを模擬回路により確認した. 2)Nonworking中, 拍動群は定常群に比し, 全身血流量, 全冠血管抵抗の有意な低値が, また, 心筋血流量, 心筋酸素消費量, 心筋乳酸摂取率の有意な高値が認められた. 3)体外循環離脱直後では, 拍動群は定常群に比し, 全身血管抵抗の有意な低値, DPTI/TTIの有意な高値が認められた. 実験結果より, nonworking beating heartにおける拍動流体外循環は心筋にとってより生理的な送血方法であるとの結論が得られた. |