アブストラクト(30巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 体動脈-肺動脈短絡手術の術後管理
Subtitle : 原著
Authors : 江郷洋一*, 田中一彦*, 公文啓二*, 内藤泰顕**, 藤田毅**, 曲直部寿夫**
Authors(kana) :
Organization : *国立循環器病センターICU, **国立循環器病センター心臓外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 30
Number : 9
Page : 1514-1519
Year/Month : 1982 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 体動脈-肺動脈短絡手術68例の臨床的検討を行った. 抜管時の動脈血ガスデーターは動脈血酸素飽和度で約80%であった. 抜管時期については術当日, 及び術後1日目に大半は抜管し得たが, 3日以上挿管せざるを得なかった6例を検討すると, 無気肺, 短絡の過剰流量による心不全が長期挿管の主な原因であった. 動脈血炭酸ガス分圧が60mmHg以上となり, 徐脈, 代謝性アシドーシスを呈する場合は極めて重症であり, 気道吸引や気管支拡張剤の投与が必要であった. 上行大動脈と肺動脈を人工血管を用いて短絡するcentral shuntは過剰流量になりやすく, 心不全を超こし, カテコラミンの使用頻度も高く, 長期挿管, 再挿管の主な原因となった. カテコラミンの使用については我々はIsoproterenolを第1選択としているが, 中にはEpinephrinを使用せざるを得ない症例があった. この際, Epinephrinのα作用により末梢血管が収縮し, 末梢循環不全を来し代謝性アシドーシスを生ずる反面, 肺血流量は増加して動脈血酸素分圧(Pao2)が上昇する現象がみられることがあった. 我々は一方が良くなれば(PaO2), 一方が悪くなる(末梢循環不全)という関係から, この現象をSeasaw phenomenonと名づけた. この場合, 血管拡張剤の併用が有効であった. このように短絡手術における血管作動薬の使用は, その特性, 作用機序を知悉しておく必要がある. 短絡手術は根治手術でない点がむしろ術後管理を難しくおり, 又短絡手術後左心負荷が増大するため術後管理は慎重でなくてはならないと考える.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 体動脈-肺動脈短絡手術, Blalock-Taussig shunt, Central shunt, 術後管理
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