Authors : |
安藤太三*, 中島伸之*, 高原善治*, 足立郁夫*, 川副浩平*, 藤田毅*, 田中一彦**, 公文啓二**, 岸本康朗** |
Abstract : |
胸部大動脈瘤に対する手術成績は近年向上しつつあるが, 今だ満足すべき成績とは言い難い. 手術成績をより向上させるため, 著者らが経験した27例の胸部大動脈瘤手術症例について, その術後早期合併症を中心に検討した. 対象は非解離性大動脈瘤15例, 解離性大動脈瘤12例で, 手術方法は人工血管置換術17例, Bentall手術6例, その他4例であり, 補助手段として一時的体外バイパスを7例に, 体外循環を19例に用いた. 術後早期の合併症は, 脳合併症が5例(19%)に認められ, そのうち4例が死亡しており, 重篤な合併症であった. 肺合併症の頻度は高く, 20例(74%)に認められた. 術後急性腎不全と肝機能障害の発生頻度も高く, 予防が大切と思われた. その他の合併症として術後出血, 高血圧, 不整脈, 感染, 消化管出血等に注意を要した. 手術死亡は10例で, 主たる死因は脳障害4例, 急性腎不全2例, LOS2例, その他2例であった. 術後早期合併症を補助手段別に比較してみると, 一時的体外バイパス使用例の方が少ない傾向にあった. |