Authors : |
数井暉久, 井上紀雄, 橋本章, 泉山修, 原田英之, 山口保, 横山秀雄, 山岸真理, 大野猛三, 杉木健司, 小松作蔵 |
Abstract : |
教室で過去20年間に施行した初回弁置換術総数は585例であるが, 術後種々の理由により再手術を必要とした62例(10.6%)の手術成績を諸因子別に検討した. 全体の術後1ヵ月以内の早期死は大動脈弁27例中9例, 33.3%, 僧帽弁33例中12例, 36.4%, 多弁2例中1例, 50.0%であった. 手術手技の向上に加えて弁置換術後の合併症の早期診断, 早期手術により死亡率は1972年以降の後期では32例中6例, 18.8%に改善した. なお早期死を含めた5年生存率は大動脈弁55.6%, 僧帽弁45.5%であった. 感染性心内膜炎, 弁機構破綻及び血栓弁では高い死亡率を示した. 再弁手術の早期成績は手術適応, 術前の重症度及び手術の緊急性, 遠隔成績では手術部位及び手術適応などが影響を及ぼす重要な因子であった. 心臓代用弁による弁置換術の成績を向上させるには初回の心臓代用弁の選択に加えて弁置換術の合併症を可及的に予防することが重要である. 弁置換術の合併症, 特に感染性心内膜炎, 弁機構破綻, 血栓弁などでは高度の心不全に陥る前に積極的に再手術を施行することが重要であると考える. |