Abstract : |
我々は肺動脈閉鎖, 単冠動脈, 動脈管開存, 右大動脈弓を伴ったファロー四徴症を経験した. modified Blalock-Taussig短絡手術後, 根治手術を行った. 冠動脈は大動脈基部の前壁から出る一本のみが認められ, 起始直後に右冠動脈と左冠動脈に分枝し, 右冠動脈は右房室間溝を走り, 左冠動脈は右室流出路を横切る前に前下行技と回旋枝に分かれ, 右室流出路を2本の冠動脈が横切っていた. 肺動脈弁は全く存在せず, 膜様組織で右室流出路は閉鎖されていた. VSDはII+III型で直径23mmであり, ダクロンパッチにて閉鎖した. 右室流出路の拡大は左冠動脈が流出路を横切っていたため, 右室流出路から肺動脈弁輪を越えての縦切開は不可能であり, 又jumping graftを行っても胸骨の閉鎖が困難であると考えられたので人工弁(Bjork-Shiley17A)にて右室流出路拡大を行った. 術後51日目に心臓カテーテル検査を行ったところ, Pp/Psは0.7と低下していた. 抗凝固療法を行わず, 経過観察中である. 本症例のような合併症の組合わせは非常にまれであり若干の文献的考察を加えて報告する. |