Abstract : |
Dibutyryl cyclic AMP(DBcAMP) 0.2mg/kg/min 30分間投与前後の血行動態に及ぼす影響を, 開心術後急性期の17症例について検討した. 心係数は投与前3.73±0.3から投与終了時4.91±0.35 (p<0.01), 終了後30分4.78±0.35 (p<0.01), 60分後4.48±0.351/min/m2 (p<0.01), 1回心拍出係数は28.2±1.8から終了時34.4±19 (p<0.01), 終了後30分, 60分ではそれぞれ34.4±1.9 (p<0.01), 32.0±2.0ml/beat/m2 (p<0.01)と有意に増加した. 動脈収縮期圧は116±4から投与終了時105±5 (p<0.01), 終了後30分112±4 (p<0.05), 60分後112±4mmHg (p<0.05), 拡張期圧は65± 3から52±3 (p<0.01), 57±2 (p<0.01), 59±2 (p<0.01)へとそれぞれ有意に下降した. 肺動脈圧並びに肺動脈楔入圧には著明な変動がみられなかったが, 肺血管抵抗は2.18±0.25から投与終了後30分, 60分頃おいて1.79±0.21, 1.85±0.23HRU/m2 (p<0.05)の低下であった. 全末梢血管抵抗の低下も有意で35.8±3.5日過投与終了時22.7±2.1 (p<0.01), 終了後30分24.8±1.9 (p<0.01), 60分後 27.1±2.0HRU/m2 (p<0.01)と極めて大きな低下をとった. 心拍数は末梢血管拡張を反映して投与前の91±2から投与終了時98±4beats/minへと増加した. DBcAMPには強力な陽性重力効果とともに末梢血管拡張作用が認められ, 心筋障害並びに末梢循環不全を伴う開心術後低心拍出量症候群の薬物治療上有力な, そして最も理想的効果をもたらす手段となり得ることを確認した. |