アブストラクト(30巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 左冠動脈肺動脈起始症の1治験例
Subtitle : 症例
Authors : 中川昭十1), 三ヶ島尊利1), 赤木正信1), 小野忠弘2), 堀尾豊2), 奥村謙2), 高岡恭治2)
Authors(kana) :
Organization : 1)熊本大学医学部第2外科, 2)熊本大学医学部第1内科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 30
Number : 10
Page : 1759-1765
Year/Month : 1982 / 10
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 我々は29歳男性の左冠動脈肺動脈起始症に対し左冠動脈再建を行い成功したので報告する. 体外循環により直腸温25℃, 心筋温20℃とし, 肺動脈を横切し左冠動脈開口部を肺動脈壁を含む径5~6mmのflange付きとし最初に自家大伏在静脈と端々吻合し, 次に大動脈と端側吻合を行い, 左冠動脈再建を完了した. また, 本邦における現在までの手術25例について症状, 雑音, 血圧, 心音図, X-P, 心カテ, 手術法, 予後等について検討を行った. その結果1~2歳の乳幼児とそれ以上の年長者の間には血行動態的にかなり相違があり, それを考慮の上, 治療法や手術法を決定すべきであろうと思われた. 即ち, 乳幼児はできるだけ内科的治療を行い, 少なくとも, 3~4歳以降に外科的治療を考えるべき あり, 成人は左右冠動脈間吻合枝が発達した動静脈痩期に手術するのが最も理想的であり, その手術法のなかで, 結紮によるone coronary systemよりは, ACBか, 左冠動脈の移植によるtwo coronary systemの方が生理的であり, 血流も多く, 予後もよい. 単なる結紮によったものは, 遠隔期に虚血性変化が現れる例が報告されているので, 現在では余り用いられない. また乳幼児でも冠動脈外科の発達した現在, 左頸動脈, 左鎖骨下動脈等を用いて, 積極的にtwo coronary systemの再建に向かうべきであろう.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 左冠動脈肺動脈起始症, aorto-coronary bypass, flange, 動静脈痩期, one or two coronary stystem, 左冠動脈結紮
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