アブストラクト(30巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 発熱時の至適ペーシングレートの実験的研究
Subtitle : 原著
Authors : 原田幸雄, 竹下力, 大久保忠俊, 上山武郎, 脇正志, 河原崎秀雄, 馬場国男, 山口貴司, 宮原透, 吉村敬三
Authors(kana) :
Organization : 浜松医科大学第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 30
Number : 11
Page : 1817-1823
Year/Month : 1982 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 正常心では運動, 発熱, 貧血, 呼吸障害などにより心拍数は増加する. しかし, ペースメーカー症例ではこのように状態が変化した時でも器械のレートは増加しない. 近年, レートを簡単に変えられるprogrammableなペースメーカーが用いられていることから種々の状態での至適レートを再検討する必要がある. 今回は発熱時の検討を行った. 雑種犬にA-Vブロックを作製し右心室ペーシングを行った. 発熱物質2-4-Dinitrophenol 1.0ないし2.0gを経口的に投与すると右心房内血液温は40℃以上に上昇した. I群の6頭(平均体重10.3±3.8kg)はブロック作製前の心拍数と同じ平均毎分173.4±19.8の固定レートでペーシングを行った. II群の5頭(平均体重10.2±2.4kg)は正常犬にみられるように37.6℃で毎分202.6±3.4から41℃で231.6±2.3と発熱とともに約1.14倍にレートを増加させてペーシングを行った. その間, I群では心拍出量は平均1.83±0.751/minから2.74±0.91l/minと1.50倍に増加し, 一回拍出量も平均11.0±5.4mlから16.2±0.6mlと同様に増加したが, 平均動脈圧は平均104.0±18.0mmHgからやや上昇した後に40℃以上では下降の傾向がみられた. II群では心拍出量は2.37±0.65l/minから4.54±1.15l/minと1.92倍に, また一回拍出量は11.7±3.3mlから19.6±4.9mlと1.68倍にそれぞれ増加し, 平均動脈圧はほとんど変動しなかった. 心拍出量については39.6℃以上の高熱時にはII群の増加が著明であり(p<0.05), 対象とした正常犬5頭の発熱時における心拍出量の増加の2.06倍とほぼ同様の増加であった. 同一個体で高熱時にレートを変化させると220以上のレートの時に心拍出量が著しく増加した. 以上の結果から発熱時に十分な心拍出量を得るためには正常犬にみられるようにレートを増加させることが必要である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : ペースメーカー, 発熱, 2-4-Dinitrophenol, 心拍出量
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