アブストラクト(30巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 開心術後の急性心不全に対する機械的循環補助の臨床─特にVAバイパスとIABPの併用について─
Subtitle : 原著
Authors : 志田力, 橘史郎, 西山範正, 太田稔明, 大野徹, 千原久幸, 松田昌三, 岡田昌義, 中村和夫, 山本信一郎*
Authors(kana) :
Organization : 神戸大学医学部第2外科, *兵庫県立姫路循環器病センター
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 30
Number : 12
Page : 1883-1890
Year/Month : 1982 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 教室における開心術後の急性心不全例に対する機械的循環補助19例を検討した. 循環補助の適応は, 体外循環からの離脱不能13例, 術後LOS6例であった. 循環補助法は, 18例にIABPが用いられた. この内の2例は, IABPに加えVAバイパスが併用された. IABPが用いられなかった1例は, VAバイパスが単独で用いられた. IABPのバルーン・カテーテルは通常大腿動脈から挿入したが, 大腿動脈が狭少で, バルーン・カテーテルの挿入が不可能であった1例では, 上行大動脈から挿入し, 好結果を得た. 適応別に循環補助例の成績を検討すると, 体外循環からの離脱不能の13例中, IABPが用いられたのは10例あり, 5例を救命し得た. IABPのみでは効果のみられなかった2例では, 更にVAバイパスが併用され, この内1例を救命し得た. VAバイパスが単独で用いられた1例は救命し得なかった. IABPにVAバイパスを併用した2例は, 比較的少量のバイパス流量で血行動態の著しい改善が得られた. この併用法は比較的容易に行うことができるので, IABPのみでは循環補助効果が不十分な例に試みる価値があるものと考える. 一方, 術後LOS6例に対しIABPを行ったが, 1例を救命し得たにすぎず, この群に対する成績は悪かった. 教室における機械的循環補助の成績は, 必ずしも満足し得るものではないが, 通常の内科的治療では恐らく救命し得なかった急性心不全例に対して用いられた点を考慮すれば, 本法の意義は十分にあり, 今後ともこのような機械的循環補助法の一層の改良, 工夫が必要であろう.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 開心術後心不全, 機械的循環補助, IABP, VAバイパス
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