アブストラクト(30巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : External Counterpulsation(ECP)の血行力学的効果に関する臨床的研究
Subtitle : 原著
Authors : 中村士郎, 瀬在幸安
Authors(kana) :
Organization : 日本大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 30
Number : 12
Page : 1970-1979
Year/Month : 1982 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 機械的補助循環法として, 大動脈内バルーンパンピング法(IABP)が心筋梗塞後の心原性ショックや開心術後の低拍出性症候群に対し広く用いられている. しかしIABPは観血的であるためその合併症も報告されている. 一方同じcounterpulsation法であるが非観血的であるexternal counterpulsation法についての報告は少ない. このため著者は開心術後の症例に使用し血行力学的見地から検討した. ECPにはCardiassist社製のCardiassistを使用した. これはcontrol consoleとleg unit2つの装置よりできており, leg unitに内臓されたwater-bladderで下肢を包みこの中に水を入れ陽圧を加えるものである. 圧迫の時期は, IABP同様心拡張期に, R波をtriggerとして行った. 対象は1979年9月より1981年10月まで, 日本大学第2外科で施行した開心術例より30例を選択した. その内訳は虚血性心疾患14例, 弁膜症16例であり, ECPは術後1時間~2時間後より開始し2時間行った. 循環動態の指標として動脈圧, 中心静脈圧, 肺動脈楔入圧, 心拍出量, 尿量などを測定した. この結果動脈圧は, 収縮期には有意に変化を示さず拡張期に上昇を示した. また中心静脈圧の変動は少なかったが, 弁疾患と虚血性心疾患を比較すると弁疾患のほうが上昇した. 肺動脈楔入圧は有意な変動は示さず, 弁疾患と虚血性心疾患の間で差は認められなかった. 心係数は, 開始後120分で平均+9.4±7.3%の増加率を示し, 弁疾患と虚血性心疾患の比較では, 弁疾患のほうが上回わった. またdiastolic augmentationの効果は開始直後より認められたが, systolic unloadingの効果はほとんど認められなかった. ECPの血行力学的効果は, IABPに次ぐものである. また非観血的で合併症がほとんどなく使用が容易なため外来での施行も可能であり, 今後IABPに準ずる機械的補助循環法として使用価値があるとの結論を得た.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 機械的補助循環法, External Counterpulsation(ECP), 大動脈内バルーン・パンピング(IABP), Diastolic Augmentation, 心原性ショック
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