アブストラクト(31巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 三尖弁閉鎖症における機能的根治手術前後の左室機能変化 -左室容量変化からみた左室機能-
Subtitle : 原著
Authors : 中江世明1), 今井康晴1), 原田順和1), 沢渡和男1), 河田政明1), 高梨吉則1), 石原和明1), 橋本明政1), 林久恵1), 小柳仁1), 中沢誠2), 金谷真弓2), 高尾篤良2)
Authors(kana) :
Organization : 1)東京女子医科大学付属日本心臓血圧研究所外科, 2)東京女子医科大学付属日本心臓血圧研究所小児科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 31
Number : 1
Page : 25-31
Year/Month : 1983 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : Fontan type手術前後における左室容量負荷の変化からみた左室機能の変化を分析した. 6例の三尖弁閉鎖症を対象とした. 対象例はIb又はIIb型であった. 術前のLVEDVIは123±44ml/m2で, 同じ体表面積を持つ正常人の166±45%に相当し, 正常人期待値の約1.7倍もの大きさを持つことがわかる. これは三尖弁閉鎖症の解剖学的特徴による左室容量負荷の大きいことを示している. 術後のLVEDVは, 術前よりも24.6%程小さくなり119.6±87.7ml(t=0.01)となった. これは120±50.9% normalであり, 左室容積は正常期待値に近づいている. しかし, 術前から大きいLVESVは67.1±50.8mlから62±45.6mlへと約8%しか小さくならず, このため, SVも減少した. 左室のEF. はLVESVの変化が少ないために, 術前の0.61±0.1から術後には, 0.48±0.1へ有意に減少した. C.Iも, 術後1カ月時には1.9±2.5l/min/m2(平均22±0.2)と低値に止まっている. しかしなかには, 術後1カ月時のE.F.が後に改善し, C.I.もまた, 2.5から3.2l/min/m2へと向上した例もみられた. 慢性的な左室容量負荷とhypoxemiaのために障害された三尖弁閉鎖症におけるFontan typeの手術後は長期的に左室機能がどの程度改善され得るか, また低右室機能に規定された左室機能の限界点は本症手術後の長期生存因子の重要な部分である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : Fontan氏手術, LV volume overload, LVEDV, LVEF
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