アブストラクト(31巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 体外循環下開心術におけるカリウムの動態とそれに影響を及ぼす諸因子の臨床的研究
Subtitle : 原著
Authors : 平田滋, 庄司佑
Authors(kana) :
Organization : 日本医科大学胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 31
Number : 1
Page : 32-43
Year/Month : 1983 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 開心術における, 体外循環下並びに術後における低カリウム血症は, 術中及び術後管理の上から重要な問題であり, 多方面から研究がなされている. 本研究においては, 低カリウム血症に影響を与える諸因子のうち, 特に内分泌機能について, 体外循環下開心術を施行した30例の検討を行った. 血清カリウムは体外循環開始とともに減少し, その減少は稀釈あるいは酸塩基平衡以外の因子によるものであった. 一方赤血球中カリウム濃度, 右房対内カリウム濃度は著明な変化を示さなかった. 内分泌機能においては, 体外循環中及び術後早期において, 血漿カテコールアミン, ACTH, アルドステロン, コルチゾールは各々有意に増加した. また平均動脈圧との間にはそれぞれ有意の相関を認め平均動脈圧の低下がこれらの分泌増加の原因と考えられた. 低カリウム血症と内分泌機能の関係については, 血漿アルドステロンと血清カリウムとの間には, r=-0.89(p<0.001)と有意の負の相関を認め, 低カリウム血症に対する二次性高アルドステロン血症の強い関与が考えられた. また血漿エピネフリンと血清カリウムとの間には, r=-0.87(p<0.001)と有意の負の相関を認め血漿エピネフリンは低カリウム血症に影響を与える重要な因子と考えられた. 一方インスリンについては体外循環中その分泌が抑制されており, また, 分泌亢進を認めた術後においても血清カリウムとの間にr=0.03(p>0.05)と有意の相関を認めず, また血漿コルチゾールについても血清カリウムとの間にr=-0.31(p>0.05)と有意の相関はなく低カリウム血症に影響を及ぼす因子とは考えられなかった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 開心術, 低カリウム血症, 血漿カテコールアミン, 血漿アルドステロン, 血漿ACTH
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