アブストラクト(31巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 僧帽弁置換術後遠隔期ペーシング負荷における心機能の検討 -特にニトログリセリン投与下との対比-
Subtitle : 原著
Authors : 会田博, 山口繁, 岩波洋, 中島昌道, 坂本滋, 安西吉行, 渡辺和朗, 湯浅幸吉, 清水健
Authors(kana) :
Organization : 金沢医科大学第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 31
Number : 1
Page : 51-58
Year/Month : 1983 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 僧帽弁置換術(MVR)施行症例に対し遠隔期の頻脈負荷に対する影響をみるべく右室ペーシング負荷を行い心機能変化を検討した. 同時にニトログリセリン(NG)舌下投与し, ペーシング負荷に対するNG効果の影響も検討した. 対象はBjork-Shiley弁29mmによるMVR 7例で, 術後平均12カ月の遠隔期に右ペーシングを毎分80~140まで20/分ずつ漸増し, 各ペーシング負荷は3分ずつ行い, 熱希釈法にて心拍出量を測定, それぞれの心係数(CI), 1回拍出係数(SI), 平均肺動脈楔入圧(PA (w)), 平均肺動脈圧(PA (m)), 平均動脈圧(AP (m)), 平均右房圧(RA (m)), 体血管抵抗(SVR), 肺血管抵抗(PVR), 左室1回拍出仕事量指数(LVSWI), 右室1回拍出仕事量指数(RVSWI), LVSWI/PA(w), SI/PA(w)を算出した. 同様の操作でNG 0.3mg舌下後3分を対照としてペーシング負荷を行った. 1部の症例では左室拡張終期圧(LVEDP)を測定し僧帽弁圧較差を算出した. ペーシング負荷によりPA(w), PA(m)の有意な上昇とSI, LVEDPの有意な下降を認め, MVR後の頻脈発作時は僧帽弁狭窄症様血行動態をとっていると考えられた. NG投与下にペーシング負荷を行った場合はL.O.S, を招くようなCIの低下もなく, NG非投与下に比し有意にPA(w), PA(m), RA(m)を低下させ, 120/分の頻脈でもPA(w)は12mmHg以下を示し, 僧帽弁圧較差も100/分までは上昇を認めず, 頻脈時preloadを減少させるのに有効であることを示した. またSIあるいはLVSWIを縦軸にPA(w)を横軸にとった心機能曲線上ペーシング負荷により心機能曲線は右下方へ移動し心機能低下をみるが, NG投与下では各ペーシング点は左下方へ移動しpreloadの改善をみた. しかし頻脈になるほど移動変化は小さくなりpreloadに対するNG効果も減少すると考えられた. 僧帽弁置換術後遠隔期ペーシング負荷は頻脈発作時の心機能を知る上で, またその治療上においても有用であるといえる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 心臓ペーシング負荷, ニトログリセリン, 血管拡張剤療法, 僧帽弁置換術
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