Abstract : |
迷走神経刺激による心拍の制御を目的として雑種成犬を用い, 迷走神経刺激効果を検討した結果, 大別して3群に分けられた. すなわちI型では洞結節の抑制と房室結節の抑制がほぼ同時に出現し, この反応様式は左右いずれの迷走神経刺激でもほぼ同様であった. II型では左迷走神経刺激は洞結節に優位に作用し洞徐脈を発現しやすかったが, 刺激エネルギーの増加とともに房室ブロックが出現した. 一方右刺激では洞徐脈の傾向を示すも完全房室ブロックはほとんど起こらなかった. III型では, 左右いずれの刺激でも洞性徐脈を示すも, 完全房室ブロックは出現しなかった. 迷走神経刺激継続中は血圧の低下を認めたが, 収縮期血圧80mmHg以下のいわゆる致命的血圧低下は認められず, 刺激の停止とともに, 全例で血圧は元に回復した. 以上の所見から迷走神経刺激は実験的には心拍数制御法として有効な方法と考えられ, また刺激電極を改良することにより, 臨床的にも応用可能と考えられ, その適応として心筋梗塞急性期や, 重症弁膜症などの術後に多発し, しかも薬剤に抵抗する心室性不整脈や, バルーンパンピング時の頻脈抑制などが考えられる. |