| Authors ： |
田中信行1), 大野猛三1), 山口保1), 数井暉久1), 大堀克己1), 北野一郎1), 安倍十三夫1), 和田寿郎2), 小松作蔵1) |
| Abstract ： |
1964～1980年の期間に4種類の代用弁(Starr-Edwards(SE)Type 1000, 1200を106例, Wada-Cutter(WC)51例, Smeloff-Cutter(SC)61例, Lillehei-Kaster(LK)33例を用い251例の単独大動脈弁置換術(AVR)を施行した. また同期間中に3種類の代用弁(SE Type 6000, 6120を65例, WC 60例, Hancock(H)69例)を用い194例の単独僧帽弁置換術(MVR)を施行した. 早期病院死はAVR症例で47例(18.7%), 一方MVR症例で34例(17.5%)であった. 早期死亡の原因は主に術後早期の低心拍出症候群に基づくもので, AVRで47例中32例(68.1%), MVRでは34例中24例(70.6%)を本合併症により失った. 弁種別早期死亡率の比較ではMVRのH群の死亡率は他弁の弁置換術に比して良好であった(p<0.05). 遠隔追跡において202例のAVR中(追跡期間平均7.7年)57例の遠隔死(28.2%), 160例のMVR中(追跡期間平均5.5年頃61例の遠隔死(38.1%)をみた. 遠隔期の弁由来死亡につき, AVR症例では抗凝血剤投与群の死亡率は(SC:49例中7例, 14.3%, LK:25例中2例, 8.0%), 非投5群(WC:40例中20例50.0%, SE:88例中30例34.1%)に比較し有意差をもち低率であった(p<0.05). またMVR症例においても同様に抗凝血剤投与群は(H=62例中6例, 9.7%), 非投与群(WC=48例中31例, 64.6%, SE:50例中24例, 48.0%)に比較し有意に低率となった(p<0.05). しかし, 抗凝血剤非投与群のAVR, MVRいずれの症例においても弁種別では遠隔死亡率に有意差を示さなかった. 以上, 教室における結果よりみれば, 弁置換術の遠隔死亡率は抗凝血剤投与の有無により決定され, 代用弁の種類そのものによっては決定されないという結論を得た. |
