アブストラクト(31巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 同所性移植心における冠循環動態の実験的研究
Subtitle : 原著
Authors : 広瀬一, 川島康生
Authors(kana) :
Organization : 大阪大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 31
Number : 2
Page : 181-190
Year/Month : 1983 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 雑種成犬6組を用い, 体外循環下に同所性心臓移植(移植心群-Gr.I)を行い, 術後急性期における血行動態及び冠循環動態を検討した. 他の6頭において実験犬と同じ条件下で体外循環を行い, Gr.Iと同様の論議, 冷却を行った心臓を対照(対照群-Gr.II)とした. (I) 固有心拍数はGr.I 83±5/分(以下平均値±標準偏差), Gr.II 97±6/分と前者が有意(p<0.005)に低値であった. (II) Gr.Iで90, 120, 160, Gr.IIで105, 120, 160, 190/分で心房ペーシングを行い, 心拍数(HR)を変化させた時, 次のごとき結果を得た. (1) 血圧は両群において特記すべき変動を示さなかった. 心拍出量はGr.IではHR 90から160/分, Gr.IIではHR105から160/分に変化した時, いずれも有意(p<0.05)に増加した. 1回拍出量は両群ともにHRの増加とともに有意(p<0.05ないしp<0.001)に減少した. なお血圧, 心拍出量, 1回拍出量には両群間に有意差はなかった. (2) Tension time index(TTI)はGr.IではHRの増加とともに有意(p<0.01)に増加し, Gr.IIでも同様に増加した. なお両群間に有意の差はなかった. diastolic pressure time index(DPTI)は両群ともにHR120から160/分にかけて有意(p<0.05)に減少した. 両群間ではHR 120, 160/分のいずれにおいてもGr.Iで有意(p<0.01)に高値であった. DPTI/TTI比はHR160/分までは両群ともに有意(p<0.05ないしp<0.005)に減少した. HR160/分においてGr.I 1.17±0.22, Gr.II 0.99± 0.21であった. HR120/分の時, Gr.Iが有意(p<0.05)に高値であった. (3) 冠静脈洞血流量(CSBF)はGr.IにおいてはHRの増加とともに有意(p<0.05ないしp<0.005)に増加し, Gr.IIにおいても有意に増加した. なお両群間に有意の差はなかった. CSBF/TTIはHR120, 160/分において両群ともに有意の変動はなく, また両群間に有意の差はなかった. DPTI/CSBFはHR120から160/分にかけて両群ともに有意(p<0.01, p<0.05)に減少した. またHR120/分でGr.Iの方が有意(p<0.05)に高値であった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : orthotopic cardiac transplantation, atrial pacing, coronary sinus blood flow, coronary circulation
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