アブストラクト(31巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 術後合併症よりみた高齢者肺切除例の検討
Subtitle : 原著
Authors : 新野晃敏, 大畑正昭, 奈良田光男, 飯田守, 大森一光, 中岡康, 瀬在幸安
Authors(kana) :
Organization : 日本大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 31
Number : 2
Page : 209-215
Year/Month : 1983 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 過去20年間に日大第2外科で扱った65歳以上の高齢者肺切除例80例について, 術後合併症の面から検討した. 対象疾患は転移性肺腫瘍も含めて, 悪性腫瘍が80例中69例と全体の86%を占めており, 術後合併症は80例中30例(37.5%)に認められた. 65歳未満群の肺切除例では, 術後合併症の発生頻度は6%であり, 両者の間には明らかな差が認められた. 内訳は, 呼吸器系合併症が80例中19例(23.8%), 以下循環器系合併症は80例中15例(18.8%), 消化器系合併症は80熱中10例(10%)となっていた. 術後合併症の発生時期は, 呼吸循環器系が術後第3病日までの間に集中してみられるのに対し, 消化器系合併症は第5病日以降に認められ, なかでも消化管出血の予後は極めて不良であった. しかしこれらの合併症は, それぞれ術前の既往歴や各種パラメーターから予測することは困難であり, しかもいったん発生すると重複し, 漸次悪循環に陥る傾向が強いので, 高齢者の肺切除術に際しては, 術後合併症の発生を予防することに全力をあげるべきである. 特に無気肺は呼吸循環器系の合併症のみならず, 消化管出血の発生にも大きく関与していると思われるので, 術直後はもちろん, 翌日にも必ずBronchial toiletを施行して気道内分泌物を吸引することが, 術後管理上最も重要やポイントであると思われた. しかし高齢者ではその疾患の大半が悪性腫瘍であるために, 術後合併症が多いという理由から消極的に構えることは禁物であり, 手術適応がある場合にはやはり非高齢者同様, 積極的に外科療法を施行するべきである.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 高齢者肺切除術, 術後管理, 術後合併症, Bronchial toilet
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