アブストラクト(31巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 心エコー断層法による心室中隔欠損症の部位診断と術式への応用
Subtitle : 原著
Authors : 小西敏雄, 泉雄勝
Authors(kana) :
Organization : 群馬大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 31
Number : 2
Page : 216-224
Year/Month : 1983 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 心室中隔欠損(VSD)を有する先天性心疾患50症例に対して, 心エコー断層法によるVSDの部位診断を行った. 主として, VSDが室上稜上部型か下部型かの鑑別を行ったが, その理由は, 通常のVSDはこのいずれかに分類されるものが圧倒的に多いことによる. 筋性部欠損例は今回経験しなかった. 症例はすべて術前に心臓カテーテル及びアンギオによる検索も受け, 剖検で確認した1例を除き全例手術時にVSDの位置を確認して, 心エコー断層法による診断と対比した. その結果, 室上稜上部型では75%, 下部型では79%の診断率が得られた. 誤診例は4例, 診断不能例は7例であった. VSDが断層像中の欠損像として認められた最小の大きさは6mmであったが, これより大きくても全例に欠損像が認められたわけではなかった. そのような偽陰性を示したものは, VSDが大動脈弁あるいは三尖弁により覆われるような状態か, VSDの形態が細長い場合にみられた. 一方, VSDを通して弁尖が突出したり, あるいはVSDを通る短絡血流により生ずる弁の細動などの間接所見がしばしば観察でき, 診断率の向上に貢献した. 心室中隔膜性部は, 正常例でも偽陽性を示すことが多く, 誤診例や診断不能例は偽陽性及び偽陰性が原因であった. 心エコー断層法によるVSDの部位診断は十分信頼性のあるものであり, 特に経心房的あるいは経肺動脈的心室中隔欠損閉鎖術の選択に有効であった. 本法は非観血的であり, VSDの外来でのスクリーニングとして有効な方法であるとともに, 観血的検査法と同様に必須な検査法であることを確認した.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 心室中隔欠損症, 心エコー断層法, 心室中隔欠損症の部位診断
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