アブストラクト(31巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 計画的IABPの術後管理上の有用性
Subtitle : 原著
Authors : 河村剛史, 和田寿郎, 板岡俊成, 中島秀嗣, 山口明満, 笹生正人, 笠置康, 長柄英男, 横山正義
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医科大学胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 31
Number : 3
Page : 291-296
Year/Month : 1983 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 弁膜症例を中心とした開心術中, 術後にわたる計画的IABP施行例(I群6例)と, ボリューム管理を主体とした術後管理例(II群6例)の血行動態を比較し, IABP単独の血行動態面での特徴を検討した. 血行動態上のパラメータとして体外循環離脱後24時間までの動脈圧, 左房圧, 心係数, 体血管抵抗, 前額面一足底部間深部温度較差, ボリュームバランスを測定した. 最高血圧は2群とも有意差はなかったが, I群において最低血圧は低く, 脈圧の拡大がみられた. 心係数はI群において3時間目平均1.69l/min/M2, 6時間目平均1.58l/min/M2で, II群の2.36l/min/M2, 2.71l/min/M2と比較して著明な減少がみられたが, 安定した血行動態を示した. 左房圧はI群において10~15mmHg前後で低く保つことができた. 体血管抵抗はI群で, 3時間目41.0単位, 6時間目40.9単位で, II群の30.1単位, 21.0単位と比べて有意の増大がみられたが, 深部温度較差はI群では3時間目6.4℃, 6時間目5.7℃, 9時間目5.3℃で安定しており, II群の5.8℃, 8.1℃, 8.3℃と比べて末梢循環は良好に保たれていた. 水分バランスはIABP施行下では利尿剤の投与なしにマイナスバランスとなった. 以上のことから, IABP下では低心拍出状態でも管理が可能で, カテコラミンの使用なしに血圧, 尿量がよく保てた. 左房圧を低く保つことが可能で, 水分バランスのプラス増加も少なく, 肺及び呼吸状態は良好に保たれた. 計画的IABP適応症例は, 重症心疾患の手術例の中でも, 特にcardiac cachexiaによる体重減少症例, 短時間のうちに循環動態の安定化が必要な高齢者, 水分バランスの増加が不利な肺高血症合併例, 冠動脈のrun offの悪いA-C bypass例にあると考えている.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 計画的IABP, 深部温度較差, 開心術後管理, 高齢者開心術
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