アブストラクト(31巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 直視下僧帽弁交連切開術前後の弁機能について -超音波心臓断層法による検討-
Subtitle : 原著
Authors : 末永義人, 弥政洋太郎
Authors(kana) :
Organization : 名古屋大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 31
Number : 3
Page : 306-314
Year/Month : 1983 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 超音波心臓断層法により, 直視下僧帽弁交連切開術前後における僧帽弁機能について検討した. 1976年1月から1980年10月までの間に, 名古屋大学第1外科において, 直視下僧帽弁交連切開術を施行した僧帽弁狭窄症37症例を対象とした. 超音波心臓断層法により, 弁口面積(MVA), 弁口前後径(MOD), 弁輪前後径(MAD), 弁口前後径と弁輪前後径との比(MOD/MAD), 前尖病変の指標 Sa(前尖のballooning index), 弁下部病変の指標として, 拡張末期の後尖突出距離Dw及び弁口中点の前後方向への振幅と拡張末期における弁口中点の後壁からの距離との比Dds/Ddを算出した. これら各指標の術前値を手術所見と対比し, また, 術後約1カ月の変動について検討した. 1. MVAエコー値と手術値との間には, 術前r=0.91, 術後r=0.65の相関を認めた. 術後, エコー値は手術値より小(p<0.005)であり, 術後の機能的弁口面積は手術値より小であることが示唆された. 2. MOD及びMOD/MADは, 拡張期における弁口の前後方向への開放制限の程度を表現する指標と考えられた. 3. 各指標はSellors分類による手術所見とよく一致した. Saは前尖病変の, Dw及びDds/Ddは弁下部病変の, 定量的な指標になり得ると考えられた. Saは, また, 弁下部病変の程度をも反映すると思われた. 4. 術後, MVA, MOD及びMOD/MADは増大し(それぞれp<0.001), MAD及びDwは減少した(それぞれp<0.005, p<0.001). Saは前尖病変の軽度なgood群のみで減少した(p<0.05). 5. 以上から, 本法は, 僧帽弁機能と弁尖及び弁下部病変の定量的評価に有用であり, 僧帽弁狭窄症の外科的重症度の判定, 手術術式の選択, 手術効果の判定及び術後の経過観察に際して有用であると考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 直視下僧帽弁交連切開術, 超音波心臓断層法, 僧帽弁機能, 弁口面積, 弁下部病変
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